漢方医学では「腎水」が髪の健康を司るという考え方をします。
腎水とは体の機能を5つに分類したもののひとつです。
中国には古くから万物万象を、
木(もく)・火(か)・土(ど)・金(きん)・水(すい)
という5つに分類した五行論があります。
つまり全てのモノ・性質を区分けしているのです。
漢方医学では五行論を元に体の機能を分類しています。
神経と解毒を「肝木(かんもく)」
精神と循環を「心火(しんか)」
栄養と消化を「脾土(ひど)」
呼吸と排泄を「肺金(はいきん)」
生殖と泌尿を「腎水(じんすい)」
腎水が関係する臓器と機能には、
腎、膀胱、耳、尿、骨、髪、慄、恐
があります。
腎とは腎臓のことではなく副腎と生殖器のことになります。
膀胱は膀胱の他にも腎臓や輸尿管、尿管など
体の防衛力のことを指します。
耳・尿・骨はそのままの意味で髪はもちろん頭髪のことを意味します。
そして慄(りつ)と恐(きょう)は精神的な症状のことで
前者は臆病、後者はノイローゼを指します。
つまり「髪は腎水」といえるわけです。
腎水系が弱る、すなわち腎虚(じんきょ)が起きれば
髪のコシがなくなったり抜け毛が増えるというわけです。
ちなみに髪は血余と言われますが、余というのは余裕という意味です。
血液の状態に余裕がなければ髪は育たないってことですが
実は腎水系には気が最優先で配分されます。
気とは栄養やエネルギーといったものではなく
体の秩序を整えるものという意味合いのものです。
優先順位を並べると、
腎水>心火>肝木>肺金>脾土
となります。
腎水系は真っ先に気がもらえるから泌尿器や生殖器疾患は病気をしにくく、
一番気が後回しになる脾土、つまり胃腸病、虫歯・口内炎などの口腔に関する疾患
肥満などは気をつけてもかかりやすいのです。
歯医者はコンビニや郵便ポストより多いといわれますが
耳鼻咽喉科は耳・鼻・口腔をあわせてやっと開業できるくらい
疾患のしやすさに雲泥の差があるってことなのです。
なぜ腎水系が最優先されるのかというと、
人間の最も重要な子孫の繁栄に深く関係するとされるからです。
生殖機能はもちろん体の余計な物質を排泄する機能は
健康体を維持するのに最も重要なものといえます。
腎水が弱るということは血液も弱ることになり
腎虚と薄毛は切っても切れない関係にある!ということなんです。
ちなみに特に何も手入れをしていなくても髪にツヤがありとても綺麗な方がいますが、
それは髪に気をとられ過ぎてしまっていて体が病弱になる可能性が高いといわれます。
ということでヘアケアをするということは
体をケアするのとほぼ同じ意味なので髪に悩みがなくても
しっかり健康を意識した生活を送る必要があるのです。
西洋医学では個々の部位が健康ならOKという考えですが
東洋医学(漢方医学)は全てに相関関係があるという考えです。