植毛は頭皮にスリットなどの
人工的な毛穴を作る必要があります。
その際、一時期レーザーで開ける手法が
行われていたようですが、
現在ではほとんど行われていません。
その理由などをお伝えしていこうと思います。
・失敗例が相次いだ曰く付きの植毛術
自毛植毛手術で必ず行われることのひとつが
薄毛部分に毛穴を作ることです。
通常はスリットと言われる細い切り込みを
いくつも入れていくことになりますが
一時期それをレーザーでやっていたといいます。
世界各国で流行ったかは定かじゃないですが
少なくともドイツでは広く行われていたようです。
レーザーで植毛孔(あな)を作るメリットは
出血が少ないからその後の移植作業がしやすい、
しかも発毛率も通常のやり方と比べて
遜色ないと言われていました。
ところが失敗例が相次いで
報告されるようになります。
1997年の植毛学会において
あるカナダの医師はレーザー植毛のメリットは
広告だけと酷評もしていたほどです。
その頃からすでにそんな状態であり、
現在ほとんど行われていないということは
問題があるという証拠だといえます。
・レーザー植毛は完全に下火の技術である
なぜレーザー植毛が支持されないのかというと
発毛率が悪くなるからです。
先ほどの言い分と真逆ですね…
レーザーで毛穴を作ると出血が少ない、
ということはドナーへの血液の流れが
悪くなることを意味します。
当然そうなると栄養も酸素も
髪の毛に届かないので生えるどころの
騒ぎではなくなってしまいます。
下手すると毛穴周辺の組織が
壊死する可能性もあるといいます。
となると既存毛の安全性も懸念されます。
レーザーを当てるということは
そこに熱を加えることを意味します。
タンパク質は熱凝固作用があるので
出血を止める際には有効な手段となります。
昔は焼灼(しょうしゃく)止血法といって
傷口に焼きごてを当てる方法もあったくらいです。
現在でも腸のポリープ切除手術や
脳の腫瘍摘出手術にも組織を焼き切ることで
出血を防止する処置が使われることもあります。
ということで止血する為ならば
熱はすごく有効に働きますが
植毛にとってはマイナスでしかありません。
高エネルギーを一部分に照射することから
周辺の皮膚も蒸発してしまい、
発毛するにしても時間がかかるといいます。
そのような手法をとるクリニックは
植毛専門でない可能性が高そうです。
副業程度で植毛をやってる医師なら
やりかねないので注意が必要です。
・レーザー植毛を受けるメリットはない
対処法というには現在では少々
大げさな表現になると思いますが
やはりクリニック選びに尽きます。
少なくとも専門クリニックならば
そのような古くて危険な手法を
取り入れていないだろうからです。
一応レーザー植毛についてまとめておきます。
・移植孔をメスではなく
レーザーで開ける手法のことを指す
・出血が少なくて済むので
その後の作業がしやすいメリットがある
・しかし、血流を遮断することになるので
発毛率が低くなることは必至
・レーザー植毛を行っているクリニックは
現在ほとんど存在しない
・実施するメリットは患者側にはない
ドナーは再生技術が発達しない限り
替えの効かない貴重なものです。
とても大事に扱ってほしいと思います。