髪の毛は簡単にいうと生えて、伸びて、抜けて、
また生えてを繰り返す器官ですが、
その過程において様々なタンパク質が関与しています。
髪が成長する段階でも抜け落ちる段階でも
血液から送られてくる栄養素をもとにいろいろなタンパク質を作り出して利用しています。
そのうちの1つにエフリンというタンパク質があります。
エフリンは元々血管や神経を作り出すことに
関係する物質であることは以前からわかってました。
LION(ライオン)株式会社が男性型脱毛症はなぜ起きるのかを
研究している時に髪とも関連があるということを世界で初めて見出したというのです。
研究によると男性型脱毛症(AGA)とそうでない人の
毛乳頭細胞の遺伝子を調べた結果、エフリンの発現が低下していることが判明します。
(他にもBMPと呼ばれる発毛促進シグナルも低下していることがわかっています)
タンパク質はすべて細胞内の遺伝子を元に作られます。
遺伝子は体の設計図と呼ばれたりもしますが、
厳密にいえばタンパク質の設計図といえる存在です。
エフリンと髪の関係はよくわかっていなかったのですが
今回の研究によりそれを作り出すのに関係している遺伝子に
なんらかの異常があったら髪の成長にも悪影響があることを
示唆している結果と捉えることができます。
マウスにエフリンを投与する実験を行ったところ、
毛根の数が増えただけでなく直径や深さにまでいい影響を与えたとされています。
毛根とは皮膚の内部に位置する髪の部分を表す言葉ですが、
髪の根本組織全般を表す際にもよく使われます。
今回の話からするとおそらく後者の意味ではないかと思います。
生後間もないマウスによる実験なので、
おそらく髪の本数自体がエフリンをしていないマウスと比べて
顕著に増加していることがわかったのだと思われます。
生後6日でふつうのマウスの1.4倍ほど、生後12日で1.3倍になっていたとのことです。
また、成長期(髪が伸びる時期)にはエフリンが多く存在していたことも確認されたそうです。
人間に関してのデータが散見できないのは残念ですが、
髪の成長メカニズムは案外動物と似ているところがあるので
今後の研究に大いに期待したいところです。
ただひとつ気になるのは、
この研究は2004年12月に発表されたものなので、
もうかなり時間が過ぎてしまっています。
(この記事は2014年2月下旬に執筆しています)
この間、エフリンに関する情報があまり出てないところを見ると、
実用化が難しいか未だに研究中なのかもしれません。
そもそも育毛でもなんでもそうですが、
あらゆる物事は複数の事象が関係して成り立つものなので
特定のものだけに注目しすぎるのも問題です。
栄養素も単独で摂り続けてはいけないように、
いろいろわかったあとに更なる疑問や問題が生じて難航しているのかもしれません。