サイトプリンとペンタデカンという成分が
男性型脱毛症に一定の効果があると
ライオン株式会社が2003年に発表しました。
脱毛部位と非脱毛部位の毛乳頭細胞を培養して
違いを見比べた結果、髪の成長に関わる
遺伝子の発現が低下していることが判明します。
特に低下していたのは
BMP(Bone Morphogenetic Protein 骨形成促進因子)と
エフリン(Ephrin(血管新生誘導因子)という成長因子。
その二つのたんぱく質に毛包細胞の増殖を
促す効果があることも同時にわかったので
それらは男性型脱毛症に関係する
発毛促進シグナルであることが見出されます。
サイトプリン(6-ベンジルアミノプリン 又は CTP)により
51種類の遺伝子の変化が確認でき
その中にBMPとエフリンも含まれていました。
つまりサイトプリンは発毛を促進する効果があるということです。
また、脱毛シグナルを抑制する効果もあるので
抜け毛予防も同時にできるといわれています。
一方ペンタデカン(ペンタデカン酸グリセリド PDG)は
髪の主要成分であるケラチンというタンパク質の合成に必要な
エネルギーを増やすのを補助する作用があります。
そのエネルギーとはATP(アデノシン三リン酸)のことで
発毛する際に増加する物質であるがわかっています。
(ATPはアデノシンを原料としている)
サイトプリンとペンタデカンが配合された育毛剤としては
ライオンのイノベートが有名です。
ただしその二つもt-フラバノンやアデノシンと同じく
研究報告が少ないため男性型脱毛症ガイドラインで
C1(用いてもよいが十分な根拠がない)に分類されています。
(副作用が軽微なことも考慮されている)
たしかにそれぞれ研究報告が1編ずつしかないので
まだまだこれからの成分であるといえます。
(報告では双方とも半数以上の試験者に
優位な効果があると示されていますが
今のところ女性での有効性は不明)
あと効能的に他の成分と組み合わせたほうが効果的だと感じます。
特にアデノシンとペンタデカンの効能は
非常にマッチしたものだと思うので
今後そのような研究も期待したいところです。