前回は素材を基準に界面活性剤を分類しましたが
今回は性質を基準に分けた話をしていきます。
界面活性剤は油分と水の表面張力をなくすことで
両者を混ぜ合わせ(乳化)、汚れを落とすものですが
水に溶かした際にイオン化するものとそうでないものがあります。
イオンとは電気(電荷)をおびた原子のことで正と負の性質に分かれます。
原子の周りには電子があると科学の授業で習ったと思いますが
電子を放出するとその原子は正の電荷をもつ、ということになります。
水に溶かしたとき正の電荷を帯びた原子を陽イオンといい、
その性質をもつのが「陽イオン(カチオン)界面活性剤」で、
逆に負の電荷を帯びるようになるのが
「陰イオン(アニオン)界面活性剤」といいます。
あと水に溶かしてもイオンとならないものを
「非イオン(ノニオン)界面活性剤」といい、
両方の性質をもつものを「両性界面活性剤」といいます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
・陰イオン(アニオン)界面活性剤
最も多く使われるタイプで全ての界面活性剤で
5割かそれ以上と言われています。
洗浄力が強いため多くの洗剤にも使われていますが
同時に肌への刺激が強いのが難点です。
特に高級アルコール系は注意が必要である。
種類にはラウリン酸ナトリウムやヤシ脂肪酸カリウム、
オレイン酸カリウムなどの植物由来のものから、
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)や
ラウリル硫酸Na、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、
アルキル(C14-18)スルホン酸Naなどがあります。
・陽イオン(カチオン)界面活性剤
固体表面への吸着力が非常に強い特徴があり
柔軟性や帯電防止・殺菌などの目的で配合される。
そのため陽イオン系はシャンプーより
リンスやトリートメントに多く使われるタイプです。
陰イオン系と比べ結合力が強いことから
毒性が強いという指摘がある。
種類には塩化ステアリトリメチルアンモニウム、
ラウリルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、
ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド
などがあります。
・両性界面活性剤
プラスとマイナス両方の性質をもつ界面活性剤で
洗浄力が強いが刺激が比較的少ないことから
シャンプーやリンス・柔軟剤などにも用いられる。
種類にはココアンホ酢酸ナトリウムや
ラウリルベタインなどアミノ酸系が目立つ。
・非イオン(ノニオン)界面活性剤
水に溶けてもイオン化しないタイプの界面活性剤で
科学的に非常に安定した優れた成分。
肌への刺激(タンパク質変性作用)も少なく
洗浄力も適度にあり最も理想的なタイプといえます。
種類にはラウラミドDEAやコカミドDEA、
ステアリン酸スクロースなどがあります。
ちなみにタンパク質変性作用があるのは危険と
最近よく謳われるようになりましたが、
界面活性剤には基本的にその性質が備わっています。
よってその作用がなるべく少ないもの=低刺激なものを
配合している製品が最も望ましいといえます。
つまり天然植物由来で非イオン界面活性剤が
最も良いということになります。
逆に石油や高級アルコールが原料の
陰イオン界面活性剤が最も刺激が強いものになります。