ケラチンという成分をご存知の方や聞いたことがある方は多いと思います。
髪の毛の主成分として広く知られているため
育毛商品をはじめ様々な美容グッズに配合されています。
ケラチンはタンパク質だからアミノ酸をよく取ることで
髪の毛の育成に繋がるなどとよくいわれています。
今回はそれよりもっと深い話をしていきます。
ケラチンを形成するために必要な体内物質の話です。
髪の最も外側の組織であるキューティクルはケラチン遺伝子を元に作られています。
キューティクルは顕微鏡で見てみると
魚の鱗に似た構造をしており外部からの刺激から髪を守るためにあります。
石油系などの質の悪い界面活性剤入りシャンプーや
ドライヤーの熱などでキューティクルが痛んでくると
髪の水分量を保つことができるパサついたり、
切れ毛やアホ毛が目立ってくるようになります。
しかしキューティクルは角化した細胞、つまりすでに死んだ細胞なので
ダメージヘアが起こったところで薄毛や脱毛と直接結びつくわけではありません。
問題なのはケラチン遺伝子を制御する物質です。
その物質とは「sox21」という転写因子の一種です。
転写因子とはDNAに記録されている遺伝情報をもとに
RNAなどを合成する際に制御するタンパク質の総称をいいます。
※RNAはタンパク質を作り出す際に必要な物質(核酸)です。
sox21は毛包組織の中でキューティクルの層へ
特に強く発現しており、ケラチン遺伝子を
コントロールしていることがわかっています。
もしsox21がなくなってしまうと髪の根元の
独特な鉤型(かぎがた)構造がなくなってしまうことも判明したのです。
それにより髪は繋ぎとめる力を失い脱毛につながりやすくなるということになります。
sox21が欠損したマウスの毛髪を拡大すると
キューティクルが正常に鱗のような形をとっていないのです。
そして興味深いのは実験で用いられたマウスの毛の抜け方です。
sox21を人為的になくしたノックアウトマウスは
生後15日頃から「頭部から」毛が抜け始め
25日もたつと完全に全身の体毛が抜け落ちてしまいました。
もしかしたらその転写因子はケラチンの合成以外にも
頭部にだけ働くなんかしらの薄毛メカニズムが働いているのかもしれません。
人間もマウスのsox21と同じく
キューティクルに関係していることがわかったので
将来的にの脱毛治療法の1つとなるかもしれません。
この原因は男女関係なく起こりうるとされてるので
なぞが多い女性の薄毛にも関係しているかもしれないですね。