円形脱毛部位を冷却することで
毛髪の再生を図る治療法があります。
患部を冷やすことで軽い凍傷を起こし、
誤作動を起こした免疫細胞の標的をやけどにうつして
脱毛症状を軽減させるという仕組みです。
冷却といっても氷や水を当てるのではなく
それらより遥かに低温なドライアイスや液体窒素を使います。
ドライアイスは二酸化炭素を固体にしたもので
温度は-80度を下回ります。(-79度で気体になる)
単にドライアイス療法といったり雪状炭酸圧抵療法とも言われます。
液体窒素はその名の通り窒素を液化したのもので
温度は-196度という驚くべき温度です。
治療の際はドライアイスをわずかな時間(1秒ほど)つけたり
液体窒素を塗布したりスプレーしたりします。
(液体窒素を塗るときは脱脂綿や綿棒が使われる)
やり方は個々の病院で異なります。
日本皮膚科学会によると
冷却(ドライアイス)療法の有効率は70%と示してるので
かなり期待できそうな数値ではあります。
しかし発毛効果を調べた試験は行われておらず
治療前と比較して脱毛部位が縮小したという
弱い根拠が示されている程度ということで、
ガイドラインでは用いても良いが十分な根拠がない
C1と判定されているので少し矛盾を感じさせます。
有効と言ってもどの程度有効なのかや
液体窒素を用いた場合はどうなのかなど
現時点でわからないことが多い。
また、単発型か多発型の併用療法として
用いてもよいとなっているので
重症な場合はあまり有効ではないのかもしれません。
(仕組みは局所免疫療法と似ていますが冷却療法の場合
毛根を攻撃するリンパを「そらす」という
表現が使われているのでそれより効果が弱いことも考えられる)
ただ薬剤を全く使用しないということで
副作用といえるものは凍傷くらいなので
用いる価値があると判断されたようです。
ですが個人的にやると凍傷がひどくなる恐れがあるので
必ず病院のみで行うよう注意してください。
(頻度は1~2週間に1回程度です)
あと少々刺激が強く痛みがあることから
子供には行わない治療法です。