数ある食べ物の中で栄養価が高いと世界中で評価されるナッツ類。
アメリカの人気サイトであるトップテンオブシティでは、
ナッツ類は髪にいい(とされる)食べ物ランキングで2位であると発表し
一部の育毛実践者の間でかなりの影響を与えます。
ということで当ブログでは個々のナッツと育毛について
最近いろいろと考察させていただいているのですが、
今回は銀杏の実について触れていこうと思います。
銀杏はイチョウ、またはぎんなん、ぎんあんとも読み、
前者は樹木全体を、後者はその実を指します。
よって銀杏の実は「いちょうのみ」と読みます。
(以下同じ意味となる銀杏(ぎんなん)とします)
銀杏は中国が原産の植物ですが現在では世界中に広められ、
日本でも数多く生産するようになっています。
茶碗蒸しの定番の具となっていたり酒の肴になったり、
歯ごたえが良いなどと評判で地味に人気が高い食材のひとつです。
栄養成分を見てみると、
炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質を幅広く含み、
主要成分で含まれていないのはビタミンB12とビタミンDくらいです。
さすが生命の起源といえるだけのことはあると思います。
科学的に作られた下手なサプリにはないポテンシャルを感じます。
中国では古くから漢方薬として使用されており、
生きた化石と呼ばれるほどなので歴史の深さも感じさせられます。
おそらく何億年というレベルで生き続ける植物だと考えられるので、
それほど外敵に抵抗する栄養を備えているのかもしれません。
・ただ欠点が最も目立つナッツでもあります
歴史が深い=役立つと連想されがちですが、
銀杏の場合はむしろ逆の意味合いが強いものとなっています。
というのも、銀杏は食べ過ぎによる中毒リスクが高いのです。
銀杏にはMPN(4-O-メチルピリドキシン)という成分が含まれており、
それはビタミンB6と拮抗するという性質があります。
つまりその成分を摂取しすぎるとビタミンB6欠乏となって
痙攣を起こすことがあると知られています。
(それによりGABAの生合成も邪魔されると言われています)
MPNは肝臓が分解してくれるのですが幼少時はまだその機能が未熟なので、
中毒症状の報告例は五歳児以下が圧倒的に多くなっています。
もちろん大人でも油断すると中毒になる恐れは十分にあります。
現在は滅多に聞かれないマイナーな症状となっていますが、
戦時中は食糧難だったことが起因してか中毒報告が多かったらしく、
中には死亡した例もあることから洒落になりません。
次に気になるのは炭水化物の含有量の多さです。
銀杏はもちもち食感により人気があると言われることがありますが、
それはでんぷんが多く含まれていることが関係してます。
(でんぷんは炭水化物の一種)
100g中約37gも含まれているのでナッツ類の中ではトップクラスの含有量です。
炭水化物はエネルギー源になると広く認知されてますが、
現代人はそれを必要以上にとっているので
ほぼほぼ不健康の要因になってしまっています。
炭水化物は糖質と食物繊維が合わさったものですが、
銀杏は前者がほぼ100%という組成になっています。
糖質を取りすぎると血糖値が上がる時間が増え、
AGEsという老化物質が多く産生されてしまい育毛の妨げとなります。
(その現象を糖化といいますがそれにより赤血球や血管、
コラーゲンの質が低下して全身に悪影響を及ぼします)
銀杏は中毒の問題もあるためそもそもそんなに食べれませんが、
ものすごく気になるポイントには変わりありません。
そして他の栄養素もとりわけ多いなどの特徴もないので、
銀杏は栄養補給としてあまり適切とは言えないと思います。
適量は一般的に大人で多くても10粒程度、
子どもは2~3粒程度にしたほうがいいと言われています。
肝臓の解毒能力は個人差があるので
大人でも5粒程度で中毒症状が出る恐れがあります。
食べるなら加熱処理されたもののほうが安全です。
加熱するとMPNが減るとされてるからです。
あと言い忘れるところでしたが、
ナッツでは定番の脂質も100g中1.6gほどとかなり少ないです。
つまり銀杏からは良質な不飽和脂肪酸などはあまり摂れません。
そんなこんなで中毒や炭水化物、栄養価の中途半端さなどの点を考慮すると、
銀杏は育毛食とは言うのは少し無理があるかもしれません。
むしろ最近は葉っぱのほうが特殊な成分が多く含まれてることから
実よりも注目されてる感じなので育毛で活用するとしたら
イチョウ葉エキスのほうが適していると思われます。
<他のナッツ類の考察記事一覧>
⇒銀杏の実(いちょうのみ)(この記事)
<参考>