マカダミアナッツは一部のチョコレート菓子に使われたり、
缶詰や袋詰で多く販売されるなどする人気の高い種実類のひとつです。
アーモンドと比べると生産量はかなり少ないそうですが、
栄養価は他のナッツに引きを取らず美味であることから
需要は伸び続けてると言われています。
そんなマカダミアナッツと育毛に関係があるのかについて、
トップテンオブシティ(※)のランキングの流れから考察していこうと思います。
※いろいろな物事をトップ10形式でランク付けして紹介する
アメリカの人気サイト。そこで髪に食べ物トップ10が発表され、
育毛に取り組む方の一部に注目されています。
マカダミアナッツは健康食として広く認知され始めてますが、
その大きな根拠となっているのは脂肪分が多いことかと思われます。
脂肪分というと太るなど悪いイメージがつきものですが、
マカダミアナッツに含まれる脂肪分の大部分は不飽和脂肪酸という良質な脂です。
100グラム中76グラムほどの脂質が含まれていますが、
そのうち80%以上が不飽和脂肪酸で占められています。
不飽和脂肪酸はナッツ類をはじめ魚介類に多く含む脂肪酸ですが、
現代人(文明人)は陸生の肉食生活の浸透などの影響で不足しがちです。
マカダミアナッツの主成分であるオレイン酸は
悪玉コレステロールを減らす善玉コレステロールを増やすといった
血管の健康に関わる重要な成分です。
オリーブオイルが健康にいいと言われるのはオレイン酸を多く含むからです。
そしてマカダミアナッツにはパルミトオレイン酸という
植物ではとてもめずらしいタイプの脂肪酸を含む特長があります。
パルミトオレイン酸も不飽和脂肪酸の一種で、
オレイン酸と同様に血管の健康に役立つ成分です。
ただ両者で決定的に違うのは血管への浸透のしやすさ。
同じ不飽和脂肪酸でも作用の仕方に違いがあり、
パルミトオレイン酸は通常では入り込めない
脳の血管にも入り込めるめずらしい性質をもった脂肪酸です。
それにより脳卒中の治療や予防にも期待される優れ物なのです。
日々だらしない食生活を送っているとまず血管が老化すると言われます。
血管は髪に栄養を送る唯一にして最大の手段であり、
育毛とも関連が深いのは誰でも直感的にわかると思います。
いくら男性ホルモンを抑制しても肝心の育毛要因が絶たれると…
当然のことながら思ったように髪が増えない、
太くならないという新たな悩みに直結していきます。
また、パルミトオレイン酸は肝臓に多く存在しており、
肝臓の脂質代謝を促進する作用があることから
インスリンの感受性を高めるのではないかとも言われています。
つまり血糖値を正常に保つ作用にも関わっている可能性があり、
糖尿病の予防にも期待されています。
糖尿病やその予備軍の人はインスリンがうまく機能せず、
血糖値が高い状態が続き老化物質のAGEsがどんどん生産され、
あらゆる臓器に悪影響を及ぼす危険性が出てきます。
それは育毛にも間接的に影響してくると思われる現象なので、
パルミトオレイン酸は血糖的にも重要な脂肪酸と言えそうです。
そしてマカダミアナッツは食物繊維やタンパク質(アミノ酸)、
ビタミン、ミネラルをバランスよく含んでいることは
他のナッツ類と共通しています。
炭水化物も含んでますが脂肪分が多いことから
割合的には他のナッツ類と比べて少なめの15%弱で、
その半分以上は食物繊維が占めています。
これらのことからマカダミアナッツも他のナッツ類と同様に、
育毛食として分類しても差支えはあまりないと考えられます。
・ただし原則は守る必要はあります
原則とは食べ過ぎに注意することです。
どんな質がいい食べ物でも食べ過ぎは活性酸素などの有害な物質を
発生させる最大級の原因となってしまいます。
ナッツ類に関しては脂肪酸の偏りも起こりやすく、
特にリノール酸の摂取過多になる可能性が出てきます。
リノール酸は体内で作り出せない必須脂肪酸の一種なので
一時期かなり話題になりましたがその話題性が仇となって
そればかり摂取する傾向が生まれてしまいました。
マカダミアナッツの場合、100g中1g程度と少なく、
くるみ(100g中40g弱)よりはだいぶマシですが、
それでも食べ過ぎには注意し1日多くても20粒程度にしましょう。
それは同時に糖質の制限にも繋がっていきます。
(ちなみに脂肪の摂り過ぎ(主に飽和脂肪酸)は
動脈硬化など血管の健康を害する可能性は高いですが、
脂肪細胞にはほとんど取り込まれないので太る原因にはなりません。
この点を勘違いしてる人が多いので注意してください。)
あと気になるのが品種改良をされたという事実。
マカダミアナッツといえばハワイの名産品としてすごく有名ですが、
原産はオーストラリアのクイーンズランド州で、
先住民族のアボリジニが食料のひとつとしていたもの。
それが1892年にハワイに持ち込まれるのですが、
原種のマカダミアナッツは甘みと脂肪分が少ないということで
そのあと約30年かけて大規模な商業化に成功した歴史があります。
ここで断定的なことは言えませんが、
品種改良とは遺伝子組み換えのことを指す場合があります。
品種改良は自然交配によって突然変異が現れるのを待つ手法で、
マカダミアナッツを例にするとこれまでより甘さや脂肪分が多いなど、
良い意味で例外が生まれるのを自然の法則に則って行います。
一方、遺伝子組み換えはDNAを直接操作する手法のこといい、
より早く新しい品種を作り出せますが近年安全性が懸念されています。
よって両者は明確に違う意味を持っているのですが、
遺伝子組み換えより品種改良の方が聞こえが良いのかわかりませんが
どちらの場合も品種改良と言われることもあります。
マカダミアナッツの歴史を見ると商業化まで
それなりの年月がかかっていることから遺伝子組み換えは
行われていないかもしれませんが、今後世界的に需要が高まり続けると、
更に大量生産しやすい品種が遺伝子組み換え技術によって
作られる可能性は無きにしもあらずかと思えるのです。
最後の節はコラム的に捉えてもらってよいですが、
とりあえずマカダミアナッツは栄養価に優れているし、
植物ということで人間に適しているなどの理由から
育毛食のひとつと認識してよいものである、
が、食べ過ぎは良くないということを意識してほしいと思います。
<他のナッツ類の考察記事一覧>
⇒マカダミアナッツ(この記事)
<参考>